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れきたん歴史人物伝
れきたん歴史人物伝は、歴史上の有名人の誕生日と主な歴史的な出来事を紹介するコーナーです。月に一回程度の割合で更新の予定です。バックナンバーはこのページの最後にまとめてあります。


8月号 2005年8月10日更新

【今月の歴史人物】
将軍に向かなかった将軍
源実朝
1192.8.9〜1219.1.27

今月号のイラスト
源実朝
文人将軍実朝
(C) イラストレーション:結木さくら


8月の主な誕生人物
01日 ラマルク/博物学者
02日 三浦梅園/江戸時代の学者
03日 新戸辺稲造/教育者
04日 吉田松陰/幕末の教育者、志士
05日 玄宗/唐王朝第六代皇帝
06日 フレミング/細菌学者
07日 リッター/地理学者
08日 ディラック/物理学者
09日 源実朝/鎌倉幕府三代将軍
10日 大久保利通/政治家
11日 亀井昭陽/江戸時代の儒者
12日 シュレーディンガー/物理学者
13日 横井小楠/幕末の儒学者
14日 シートン/動物学者、作家
15日 ナポレオン/軍人、政治家
16日 山鹿素行/江戸時代の儒者
17日 クロケット/政治家、開拓者
18日 最澄/平安時代の僧
19日 ライト(オービル)/発明家
20日 高杉晋作/幕末の志士
21日 ビアズリー/画家
22日 足利義満/室町幕府三代将軍
23日 三好達治/詩人
24日 平田篤胤/江戸時代の国学者
25日 榎本武揚/政治家
26日 ウォルポール/政治家
27日 ヘーゲル/哲学者
28日 ゲーテ/詩人、小説家
29日 メーテルリンク/劇作家、詩人
30日 ラザフォード/物理学者
31日 鏑木清方/画家

室町幕府ならば初代尊氏、三代義満、八代義政、十五代義昭。江戸幕府ならば初代家康、三代家光、五代綱吉、八代吉宗、十五代慶喜……
室町、江戸の両幕府ではそれぞれ十五人が将軍となり、名の通った将軍も何人もいます。しかし、日本最初の幕府である鎌倉幕府の場合は、初代頼朝、そして三代実朝くらいしか将軍の名は知られていないのではないでしょうか。これは鎌倉幕府における源氏正統の将軍が三代で絶えており、後に続く将軍は公家から選ばれた言わば「お飾り」の将軍であったためです。
三代で絶えた源氏将軍。それは何故だったのでしょうか。

内紛の末に……
鎌倉幕府が源頼朝によって作られたことは広く知られています。その鎌倉幕府以後、700年近く続くこととなる武家政権の初めを担ったわけですから、やはり頼朝は卓越した政治家でした。初期の鎌倉幕府は、源氏の政権である以上に頼朝の政権という側面がありました。
それだけに、頼朝の死後、幕府が混乱することは定めであったのかも知れません。頼朝の死後、後を継いだのは息子の頼家でした。しかし、頼朝のいない幕府で大きな権力を握ったのは頼朝の妻・政子とその父・時政率いる北条氏でした。頼家は北条氏を排除するために策を練りますが露見し、将軍として権力をふるうこともかなわず北条氏によって殺されてしまいます。そして登場するのが、頼家の弟・実朝というわけです。
源実朝は建久3(1192)年8月9日に生まれました。母は北条政子です。幼い頃から京都の公家文化に憧れ、政治にはあまり興味を持たなかったと言われます。また、幕府で強い権力を握りたかった北条氏にとっては非情に都合のよいことであったでしょう。そもそも母の実家である北条氏により、政治に興味を持たないように育成されていたということもあったようです。
しかし、それで実朝の生涯が平穏無事であったかというとそうではありませんでした。政治に興味を持たず、公家の文化に傾倒していた実朝は幕府内での居場所を失い、ついには公暁という人物に暗殺されてしまうのです。わずか27年の生涯でした。ここで源氏正統の将軍は断絶します。この件を裏から操っていたのも北条氏であるという説が有力です。

骨肉の争い
ちなみに、二代頼家の母も政子でした。驚くべきことに頼家は、母の実家によって死に追いやられたのです。そして、実朝を暗殺した公暁はなんと頼家の息子にあたり、互いは叔父甥の関係。つまり源氏将軍をめぐる争いは、血のつながった者同士の骨肉の争いであったということです。
思えば、かの頼朝も弟の義経を奥州の地で討っています。ここに源氏が持つ宿命・運命のようなものを感じずにはいられません。裏で糸を引いていたのが北条氏であったとはいえ。

文人将軍実朝
実朝は言わば「ダメ将軍」ではありました。将軍・政治家としての実績はほとんどありません。しかし、この時代の文化に対しては確固たる足跡を残しています。「古今和歌集」「新古今和歌集」や、奈良時代の「万葉集」を愛読し、当時最高の歌人であった藤原定家とも交流がありました。自らの歌集「金槐和歌集」も完成させています。短い生涯であったがゆえ、歌人として未完成ではありましたが、それだけに個性的で、歌の随所に光るものをのぞかせていました。後世の歌人や評論家も実朝を高く評価しています。将軍ではなく、歌人として生涯を送ったならば、大歌人として歴史に名を残していたかも知れません。そういう意味でも、実朝は「悲劇の将軍」であったのです。

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