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れきたん歴史人物伝
れきたん歴史人物伝は、歴史上の有名人の誕生日と主な歴史的な出来事を紹介するコーナーです。月に一回程度の割合で更新の予定です。(バックナンバーはこのページの最後にもまとめてあります)


11月号 2014年11月30日更新

【今月の歴史人物】
江戸を揺るがした天災
宝永の富士山大噴火が始まる
宝永4(1707).11.23


今月号のイラスト徳川綱吉 人慣れない地震と噴火
(C) イラストレーション:結木さくら



11月の主な誕生人物
01日萩原朔太郎/詩人
02日マリー・アントワネット/フランス王妃
02日後醍醐天皇/第96代天皇
03日武田信玄/戦国時代の大名
03日田中正造/政治家
04日隠元隆(埼)/江戸時代の僧
04日泉鏡花/小説家
04日有馬新七/志士
05日市村羽左衛門(15代)/歌舞伎役者
05日サバティエ/化学者
06日鮎川義介/実業家
07日キュリー(マリー)/物理学者
07日ヴィリエ・ド・リラダン/小説家
08日ロールシャッハ/精神医学者
09日野口英世/細菌学者
10日ルター/宗教改革者
10日シラー/詩人
11日乃木希典/軍人
11日川上操六/軍人
12日孫文/政治家、革命家
12日シャルル/物理学者
12日ブッセ/詩人
13日アウグスティヌス/神学者
13日スティーブンソン/小説家
13日岸信介/政治家
14日見原益軒/江戸時代の儒者
14日ネルー/政治家
15日坂本竜馬/幕末の志士
15日ハーシェル/天文学者
15日芦田均/政治家
16日北村透谷/詩人、評論家
16日ダランベール/政治家
17日ルイ十八世/フランス国王
18日ダ・ゲール/画家、写真家
19日ディルタイ/哲学者
19日毛沢東/政治家
20日ラゲルレーフ/小説家
20日尾崎行雄/政治家
20日ハッブル/天文学者
21日ヴォルテール/哲学者
22日ド・ゴール/政治家、軍人
23日ファリャ/作曲家
24日バーネット/小説家
24日スピノザ/哲学者
24日ロートレック/画家
25日カーネギー/実業家
25日安藤信正/老中
26日アームストロング/技術者、実業家
27日セルシウス/天文学者、物理学者
27日松下幸之助/実業家
28日桂太郎/政治家、軍人
28日寺田寅彦/作家、物理学者
29日オルコット/小説家
29日フレミング/技術者
30日マーク・トゥエイン/小説家
30日チャーチル/政治家

今からおよそ300年前、富士山の噴火がありました。これは宝永の大噴火、などと呼ばれます。今月はこの宝永噴火を中心に、有史以来幾度か起こっている富士山の噴火について見ていきましょう。

歴史の中の富士噴火
富士山が今も活動している火山(活火山)であるという事実は、今は広く知れ渡っていることと思います。そもそもこの富士山の火山活動というものは、この数千年間続いています。日本の歴史に残されているものですと、まず平安時代に活発な活動期がありました。
平安時代にできた『竹取物語』は、多くの人がご存知かと思いますが、この物語にも、富士山の火山活動の跡が刻まれています。ラストシーンを思い出してみてください。月へと帰る際、かぐや姫は帝に手紙と不死の薬を残してゆきます。しかし悲しんだ帝は、そんなものが何になろうか、と、薬と手紙を富士山で燃やすよう命じます。その時の煙が、今も富士山に立ち昇っている…というラストでした。
このシーンはつまり、当時の富士山が常に噴煙を上げていたことを示しているわけです。ちなみに、歌集『万葉集』などにも、富士の噴煙を詠んだ歌が多く残されています。
さて、そんな平安時代に起こった大きな噴火は2度。延暦の噴火(延暦19・800年)と貞観の噴火(貞観6・864年)です。貞観の噴火は特に大規模で、火山礫や火山灰が大量に降り注ぎました。さらに、大量の溶岩が流れ出て、富士のふもとにあった巨大な湖に流れ込み、湖を分断しました。富士五湖のうち、西湖と精進湖はこの時に形作られたものです。

江戸時代の大噴火
その数百年後に起こったのが、宝永の大噴火です。西暦でいうと1707年。日本では江戸時代です。将軍は徳川綱吉でした。ちなみに、綱吉の次の時代を担うことになる新井白石はこの噴火を経験しており、自らの随筆「折たく柴の記」に「雪が降るようだったが、よく見ると白い灰であった」などと、その時の様子を書き残してます。
さて、噴火のひと月前には宝永の大地震と呼ばれる巨大地震も起こっています。震源は紀伊半島の沖あたりで、東海地方〜関西地方を中心に強く揺れ、それ以外の広い地域でも揺れたと記録されています。この地震が富士山の噴火と強く関連していると言われます。
そしてついに起こったのが富士山の噴火。宝永の大噴火です。はじまったのは宝永4(1707)11月23日。午前のことでした。火山噴火というと、まさに山のてっぺんからドカンドカンとマグマが吹き上げるようなさまを想像しがちですが、この噴火はちょっと違います。富士山の東南側の「斜面」からの噴火でした。当時の絵図をみると、まさに富士の「横っ腹」が破れ、煙や溶岩が噴出しているさまが見て取れます。
噴火は巨大な音とともにはじまり、周辺の広い範囲に火山礫や火山灰などの噴出物が降り注ぎました。富士山から離れた江戸にも影響は及び、火山灰のせいで昼も暗く、灰除けに傘をさす人もいたようです。噴火はおよそ20日間でおさまったものの、作物の不作はこのあと長く続き、飢えに苦しむ人々が多く現れました。
そしてこの噴火によって、富士山腹に、ちょっと出っ張ったような新しい山ができました。これを宝永山といいます。また、えぐれたような大きなくぼみが当時の火口で、これは宝永火口といいます。

現代に生きる「火山情報」
宝永の大噴火以後、富士山には目立った噴火活動は見られませんが、近年、富士山噴火の危険性が叫ばれることが多くなっています。そして、その具体的な被害や対策を想定する際、大いに参考となるのが宝永の大噴火の様子です。300年前とはいえ「前回」の噴火なのですから、得られるものは大きいのです。その意味では、宝永の大噴火は、歴史であって歴史でない、現代に活かされるべき「火山情報」なのかもしれません。

 



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