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れきたん歴史人物伝
れきたん歴史人物伝は、歴史上の有名人の誕生日と主な歴史的な出来事を紹介するコーナーです。月に一回程度の割合で更新の予定です。(バックナンバーはこのページの最後にもまとめてあります)


8月号 2016年8月31日更新

【今月の歴史人物】
自然と動物を愛し続けた生涯
シートン
1860.8.14〜1946.10.23


今月号のイラストシートン ◆様々な動物のシーント挿絵の物語
(C) イラストレーション:結木さくら

8月の主な誕生人物
01日 ラマルク/博物学者
01日 団琢磨/実業家
01日 室生犀星/小説家
01日 メルビル/小説家
02日 三浦梅園/江戸時代の学者
02日 速水御舟/画家
03日 新戸辺稲造/教育者
03日 豊臣秀頼/武将
04日 吉田松陰/幕末の教育者、志士
04日 シェリー/詩人
05日 玄宗/唐王朝第六代皇帝
05日 モーパッサン/小説家
06日 フレミング/細菌学者
06日 テニスン/詩人
07日 リッター/地理学者
07日 司馬遼太郎/小説家
08日 ディラック/物理学者
09日 源実朝/鎌倉幕府三代将軍
09日 ドライデン/詩人
10日 大久保利通/政治家
11日 亀井昭陽/江戸時代の儒者
11日 幣原喜重郎/政治家
12日 シュレーディンガー/物理学者
13日 横井小楠/幕末の儒学者
14日 シートン/動物学者、作家
15日 ナポレオン/軍人、政治家
15日 山東京伝/戯作者
15日 高島秋帆/砲術家、兵学者
16日 山鹿素行/江戸時代の儒者
16日 スタンリー/生化学者
17日 クロケット/政治家、開拓者
18日 最澄/平安時代の僧
19日 ライト(オービル)/発明家
20日 高杉晋作/幕末の志士
21日 ビアズリー/画家
22日 足利義満/室町幕府三代将軍
22日 ドビュッシー/作曲家
23日 三好達治/詩人
24日 平田篤胤/江戸時代の国学者
24日 若山牧水/歌人
25日 榎本武揚/政治家
26日 ウォルポール/政治家
27日 ヘーゲル/哲学者
28日 ゲーテ/詩人、小説家
28日 杉村楚人冠/ジャーナリスト
29日 メーテルリンク/劇作家、詩人
29日 コルベール/政治家
30日 ラザフォード/物理学者
30日 ファントホッフ/化学者
31日 鏑木清方/画家

今月ご紹介するのは、イギリス出身の博物学者にして作家のシートンです。なんと言っても有名なのは「シートン動物記」。この稀有な作品集はいかにして生まれたのでしょうか。

若き日の道のり
シートンが誕生したのは1860年のこと。日本では幕末、動乱の時代の真っただ中です。その1860年の8月14日、イギリスの港町サウスシールズにシートンは誕生しました。しかしシートンが5歳の時、父の事業が失敗したためにカナダへと移り住み、そこで育ちます。幼いシートンはこのカナダで大自然に親しみました。その経験が、かれの将来に大きく影響したに違いありません。
高校を卒業するころになると、シートンは博物学者を志します。しかし、シートンの父は非常に厳格な人物で、博物学者ではなく画家の道をシートンに勧めました。シートンは美術学校に入り、そこで優秀な成績を修め、イギリスの名門、ロイヤル・アカデミーに入学がかないます。このロイヤル・アカデミーでシートンは存分に絵の勉強をし、また、かつての夢だった博物学の書物を図書館で遅くまで読み漁ったといいます。
しかし、そんな生活がたたったのか、シートンは体調を崩し、カナダへと帰国することになります。

「ロボ」との戦い
カナダへ帰ると、シートンはまもなく体調を回復させます。そして、そのままカナダで、兄の経営している牧場の手伝いをしながら、懐かしい大自然と、その中で生きる動物たちを観察して過ごすのです。
以後、シートンはカナダと、海外を行ったり来たりしながら年月を重ねます。23歳の年にはニューヨークへ渡り、出版物の挿絵を描く仕事を得ます。30歳の年には絵の腕を磨こうとパリにも渡りました。その合間、たびたびカナダにも帰国しています。
そして33歳の年、その後のシートンの運命を決定づける出来事が起こります。シートンの知り合いのとあるアメリカの実業家から、手紙が届くのです。その内容は「牧場の牛がオオカミに襲われている。助けてほしい」というものでした。なぜハンターでもない自分にオオカミ退治のようなことを求めるのか、疑問に思いながらもシートンはアメリカへと渡ります。
現地へ着くと、シートンが呼ばれた理由がよくわかりました。そこでは「ロボ」と呼ばれるオオカミが、家畜を襲い続けていました。ロボはあまりにも賢く、そして強いオオカミで、ハンターがどうやっても退治できなかったのでした。
シートンはロボと対決します。詳しくはここでは触れませんが、シートンはロボとその群れをよく観察し、ロボを追い詰めてゆきます。この顛末をまとめた一篇が、日本では「オオカミ王ロボ」と言われる物語です。有名な作品なので、聞いたことのある方も多いでしょう。
このロボとの戦いののち、シートンはニューヨークに移住し、「オオカミ王ロボ」を発表、のちに出版する動物作品集にも収録しました。これらはアメリカで大いに売れ、シートンの名は高まったのです。これが「シートン動物記」の始まりです。
しかし「シートン動物記」という一連の作品集は、実は存在しません。これは日本にシートンの動物物語が紹介されたときに名付けられた邦題なのです。また、これらの動物物語にはシートン自身の挿絵が添えられており、物語の雰囲気を盛り上げています。

その死
成功を収めたシートンでしたが、その後も動物や自然を愛する態度は変わりませんでした。「シートン動物記」を構成するさまざまな動物物語を発表し続けたほか、「ウッドクラフト」と呼ばれる自然の中での生活法を広めようと活動したり、ネイティブアメリカンの暮らしの研究もおこないました。ボーイスカウトの創設者、ベーデン・パウエル卿とも交流があり、ボーイスカウトの創設にはシートンの思想が大いに影響しているとされます。
これらの活動ののち、1946年の10月23日、シートンは当時暮らしていたアメリカのニューメキシコ州において亡くなりました。86歳、老衰による死でした。

 



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