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れきたん歴史人物伝
れきたん歴史人物伝は、歴史上の有名人の誕生日と主な歴史的な出来事を紹介するコーナーです。月に一回程度の割合で更新の予定です。(バックナンバーはこのページの最後にもまとめてあります)


6月号 2017年6月30日更新

【今月の歴史人物】
近代建築史の巨人
ガウディ
1852.6.25〜1926.6.10


今月号のイラスト ガウディ◆「君の建築を買うでぃ」「これで食える」
(C) イラストレーション:結木さくら

6月の主な誕生人物
01日 カルノー/物理学者
02日 エルガー/作曲家
    サド/小説家 
03日 佐佐木信綱/歌人
    デュフィ/画家
04日 ケネー/経済学者、医者
05日 ケインズ/経済学者
    スミス/経済学者
06日 ブラウン/物理学者
    ベラスケス/画家
    マン/小説家
07日 梅田雲浜/江戸時代の儒者
08日 シューマン/作曲家
    カッシーニ/天文学者
    広津柳浪/小説家
    土岐善麿/歌人
09日 滝沢馬琴/江戸時代の読本作者
    スティーブンソン/技術者
    山田耕筰/作曲家
10日 徳川光國/江戸時代の水戸藩主
    多能村竹田/画家
    山岡鉄舟/幕臣、政治家
11日 シュトラウス/作曲家
    川端康成/小説家
12日 花井卓蔵/弁護士
    キングスリー/小説家
13日 ヤング(トマス)/物理学者、医学者、考古学者
14日 クーロン/物理学者
15日 空海/平安時代の僧
    グリーグ/作曲家
    佐藤信淵/農政学者
16日 荻原井泉水/俳人
17日 クルックス/物理学者、化学者
    ストラビンスキー/作曲家
18日 モース/動物学者
    ラディゲ/詩人
19日 パスカル/数学者、物理学者、哲学者
    太宰治/小説家
20日 ホプキンズ/生化学者
    白河天皇/第72代天皇
21日 サルトル/哲学者、小説家、劇作家
22日 フンボルト/言語学者、政治家
    田中義一/政治家、軍人
23日 水野忠邦/江戸時代の老中
    林述斎/儒者
    三木露風/詩人
24日 ビアス/小説家、ジャーナリスト
    ビアス/作家
25日 ガウディ/建築家
26日 木戸孝允/政治家、幕末の志士
    ケルビン/物理学者
    バック/小説家
27日 小泉八雲/文学者
    ケラー/福祉活動家
28日 ルソー/思想家
    ルーベンス/画家
29日 黒田清輝/画家
    サン=テグジュペリ/小説家
30日 サトー/外交官

今月ご紹介するのは、スペインの建築家、ガウディです。独特の建築を多数残し、その作品群は世界遺産にも登録されています。日本人にもよく知られる人物ですが、どのような人物だったかということまで知っている人は案外少ないのではないでしょうか。


ガウディが生まれたのはスペイン・カタルーニャ地方。父は銅細工の職人でした。

彼の生まれた1852年は、日本でいえば江戸時代末期。この翌年には、浦賀に黒船が来航します。ヨーロッパではいわゆるヴィクトリア時代を迎えたイギリスの絶頂期でした。

さて、幼少期のガウディは病弱だったようです。しかしながら、建築への興味はこのころから芽生えていたとも言われ、紙製の建築模型を作っていたというエピソードも伝わります。

ガウディは10代の後半には建築を学ぶためにバルセロナへと出、25歳のころには建築学校を卒業しています。修行時代にも、それほど対策ではなかったものの、いくつもの建築に携わり、建築家として活動していました。

建築家としてキャリアを重ねるうち、ガウディがで出会ったのが、グエル伯爵という人物です。グエル伯爵はバルセロナの実業家で、繊維会社などを興したほか、さまざまな会社の経営にかかわり、さらには国会議員にもなった当時の名士でした。彼がガウディの建築を見込み、長きに渡ってガウディの強力な支援者(パトロン)となったのです。

グエイの依頼によって実現したガウディの建築は数多く、例えば世界遺産に登録されている「グエル公園」というのがあります。当時、急速な工業化、都市化のすすむバルセロナにあって、ガウディとグエル伯爵は、自然と建築の調和した全く新しい住宅地を立ち上げようとしたのです。この住宅地には実にガウディらしい、曲線的で独特な建築が実現されましたが、当時の社会では理解されない試みであり、やがてはバルセロナ市に公園として寄付される運命をたどったのです。

同じくガウディとグエイ伯爵による「カサ・ミラ」も有名な建築物です。ガウディが54歳の年に建築が始まった集合住宅で、ガウディ様式の頂点を示す建築物の一つとされます。曲線で構成されたその外観は圧倒的な存在感を持ち、何か自然の岩でも切り出したような造形です。この芸術性は建築当時には全く理解されず、当時の市民は「石切り場」などと呼んで揶揄したといいます。ちなみにこのカサ・ミラはその一部が今も住宅として実際に使用されています。

ガウディの作品で最も有名なものといえば「サグラダ・ファミリア」でしょう。この聖堂は「贖罪教会」として計画され、その建築費は寄付(喜捨)によって支払われるというものでした。最初はビリヤールという建築家が建築を担当しましたが、ガウディが31歳の年にそのあとを引き継ぎました。設計もそのときに大幅に変更されています。サグラダ・ファミリアの特徴といえば、外観もさることながら、その規模でしょう。ガウディもライフワークとして取り組みましたが、その生前に出来上がったのは生誕のファサードと呼ばれる外壁と塔など、構想されていたと思われるもののごく一部。建築開始後、130年以上も経った現在でも未完成の巨大建築物なのです。かつては完成するのは22世紀である、とされていましたが、最近の目覚ましい技術の進歩によって工期が劇的に短縮され、ガウディ没後100年にあたる2026年の完成が予定されています。

晩年、最大の後援者、理解者だったグエイ伯爵が亡くなり、心血を注いで取り組んでいたサグラダ・ファミリアの建築は建築費の問題から進まず、ガウディは次第に厭世的になっていました。そんな中、ガウディは交通事故に遭います。1926年の6月7日、路面電車に衝突し、その数日後に亡くなりました。74年の生涯でした。

 



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